読書してました
夏刈郁子さんが書かれた 「心病む母が遺してくれたもの 精神科医の回復への道のり」という本を読みました。
幼い頃に母が統合失調症を発病してしまい、病識が無かったために母に嫌悪感を抱き、両親が離婚した後もなかなか再会できなかったことや、夏刈さん自身も精神的にボロボロになり自殺未遂をしてしまったことが書かれていました。
しかしそんな時に出会った人達によって母と再会を果たし、少しずつ前を向いて生きていけるようになっていく過程が記されていました。
この本で私にとって印象的な場面があり、夏刈さんが10年ぶりに母に再会し、暖房器具が壊れた母の家に泊まる場面です。唯一の暖房器具である石油ストーブに母が手招きし、夏刈さんが戸惑っていると「お母さんのこと、気持ち悪いかい?」と母から言われます。夏刈さんは母にこの言葉を言わせたのは10年間も放っておいた自分のせいだと責めます。
また、第7章でこのような文章が書いてありました。
統合失調症をはじめとする精神の病いをもつ患者さんの中には、「死にたい」と思っている方が少なくないと思います。その思いの大部分は、「孤独な心」にあると思います。
人間同士の思いやりのある関わりが時として障害される病気のため、自分の一番大切な人との関係も壊れてしまうことがあります。
人間は社会的な生き物なので、長期に孤独な状態が続くと、行き着くところが「死にたい」となってしまうことを、医療者は理解しなくてはいけないと思います。
この文章を読んで、精神的な疾患を持つ患者さんに対して、その孤独な心に寄り添えるような関わりを持てる心理士になりたいと思いました。